私自身の野球肩の経験から
当時を振り返ってみると「あのときにこういう治療ができていれば」「こういう練習をしていれば」と後悔することもあります。高校を卒業してからは鍼灸師と柔道整復師の国家資格を取得し、野球肩や野球肘の治療には人一倍熱意をもって取り組んできました。
ピッチング指導が大切な理由
厳密な制限がルールになっているメジャーリーグでも肩肘のケガが減っているというデータはありません。つまり、ケガをしてしまう原因というのは選手個々によって違うのです。その原因の多くが選手の体の構造であったり、投球フォームにあったりします。
技術力の向上が最大の怪我予防
MAXが150キロになれば、140キロ程度のボールであればそれなりに投げても負担にはなりくく、コントロールが良ければ結果的に球数も少なくてすみます。つまり長く野球を続けるためには技術の向上が欠かせないのです。
どうすればフォームが改善されるのか?
大切なのは「どうすればその動作が改善されるか」ということです。
実は、その悪い動作になってしまうのには必ず原因があります。例えば、体が早く開く原因は「軸足の使い方」や「股関節の柔軟性」などにあります。つまりその原因が改善されることで初めてピッチングは上達するのです。
「リラックス」と「体の使い方」が上達のポイント
ストレスを感じて練習していませんか?
「指導者が子供を大声で怒鳴る」このようなお話はいまだによく耳にします。
大声で怒鳴られた時にあなたは緊張しませんか?
平常心を保てますか?
投球のパフォーマンスを最大限に発揮するには、いかに平常心でリラックスした状態でプレーできるかです。
だからこそ、ストレスを感じることなく客観的に自分を見つめることのできるオンライン指導が有効であると私は思っています。
「体の使い方」が投げる動作の本質
投球動作というものは、小手先だけうまくしようと思ってもそうはいきません。将来本当に活躍できる選手になるには小手先ではない、本質的な体の使い方を学ぶ必要があります。基礎なくして本当の技術は身につけられません。
次の試合で結果を出さないといけないコーチと、一生野球を楽しめる体作りをすることを目指している私たちの考えが根本的に合わないのはやむを得ないことなのです。
メジャーリーグでも中学3年生からピッチャーに転向し、第一線で活躍している選手も少なくありません。その最大の理由は、先を見据えた長期的な育成ができるかどうかにかかっているのです。
日本では、幼い頃から小手先の技術ばかり教えていることが多く、最終的に大成するに至らない理由もそこにあるかもしれません。
筋肉も使えなければ意味がない
ウエイトトレーニングが悪いわけではありませんが、人の体を動かす本質はその筋肉をうまく使う「体の使い方」にあります。
実際に、身体の使い方を学ぶだけで、数ヶ月で10キロ近く球速が上がることもあります。このように、一生ものの財産になる根本的な体の使い方を身につけてもらって、投球動作を変えていくのが私の指導の最大のポイントです。
個性を大切にした指導
現在日本でも注目されはじめ、一時、当時のアメリカを席巻した投球理論というものがあります。ところが実際に多くの選手のデータを取ってみると、その理論に当てはまる選手もそうでない選手も、ケガをする確率は変わらないということがわかりました。
つまり、ある一定のレベル以上の選手では、それぞれの個性を生かした投球フォームがあって良いというわけです。その個性を見極められるかどうかが指導者の技量ではないのでしょうか。
「他覚」を引き出すための「自覚」
「他覚」というのは他人から見たフォームのことです。「自覚」とは自分の持っているイメージ、もしくは体の感覚です。例えば鏡を一切見ないで「自分はこうやって投げている」という感覚のことです。
例えば体重移動はお尻から先行するのでそれを「ヒップファースト」と呼びます。これは外から見たフォームなので「他覚」ということになります。プロ野球選手をみるとほとんどの選手がヒップファーストになっています。
ところがプロの選手たちは「お尻から先行する」などとは考えていません。正しい体の使い方ができれば、自然にそのような投球フォームになるからです。
子供たちを見ていると、お尻から出すようにと指導され、お尻を前にプリッと突き出したように投げていることがあります。それではよいピッチングはできません。その言葉や見た目だけにとらわれてしまうとなかなかうまくはいかないものです。
どういう意識を持てば、またはどういう練習をすれば自然とよい投げ方になるのか?他覚を引き出すための自覚は何か?を考えて指導することを私は大切にしています。
自分で考える力を身につける
野球の現場では、監督の言うことに「はい」とだけ答え、ただ言われたことをする、自分で考えることをしない選手が多いです。
私自身もそんな選手の一人で、ただ言われた通りの練習をこなす毎日でした。自分で考えるからこそ発見があり、自発的に練習に取り組むようになり、今までにない感覚をつかむことができます。現に良いチーム、良い選手ほど自分で考えて行動しています。