私自身の野球肩の経験から

甲子園出場
実は私自身も学生時代、野球で肩を痛めました。当時、治療はおこなっていましたがなかなか良くなることはなく、痛みを我慢しながら練習を続けていました。念願であった甲子園には出場できたものの、最終的には少し投げるだけでも肩に激痛が走るようになり、大学へ進学して野球を続ける道は断念しました。

当時を振り返ってみると「あのときにこういう治療ができていれば」「こういう練習をしていれば」と後悔することもあります。高校を卒業してからは鍼灸師と柔道整復師の国家資格を取得し、野球肩や野球肘の治療には人一倍熱意をもって取り組んできました。

ピッチング指導が大切な理由

ピッチング指導が大切な理由
これまでたくさんの肩肘の痛みをみてきた経験から、長引く痛み、繰り返す痛みに悩む選手ほどピッチングの指導が欠かせないこと感じています。近年、球数制限や登板間隔がトピックになっておりますが、実際には200球投げても、連投しても肩肘を痛めない選手もいれば、厳密な投球制限をしているにも関わらずケガをする選手もいます。

厳密な制限がルールになっているメジャーリーグでも肩肘のケガが減っているというデータはありません。つまり、ケガをしてしまう原因というのは選手個々によって違うのです。その原因の多くが選手の体の構造であったり、投球フォームにあったりします。

技術力の向上が最大の怪我予防

技術力向上が最大のケガ予防
私は日頃から8割の力でピッチングができるようにと指導しております。MAXの球速が140キロの選手が常に140キロのボールを投げていたら、どんなに良いフォームをしていてもそのうちケガをしてしまいます。コントロールが著しく悪ければ、力んで投げたり、球数が多くなってしまって結果的にケガをしてしまいます。

MAXが150キロになれば、140キロ程度のボールであればそれなりに投げても負担にはなりくく、コントロールが良ければ結果的に球数も少なくてすみます。つまり長く野球を続けるためには技術の向上が欠かせないのです。

どうすればフォームが改善されるのか?

野球の現場では「体を開くな」「肘をあげろ」「上体を突っ込むな」「下半身を使え」などさまざまな指導用語があります。その動作が良くないことは事実ですが、実際にそのことを指摘され直そうとしてもうまくいかないことがほとんどではないでしょうか。

大切なのは「どうすればその動作が改善されるか」ということです。

実は、その悪い動作になってしまうのには必ず原因があります。例えば、体が早く開く原因は「軸足の使い方」や「股関節の柔軟性」などにあります。つまりその原因が改善されることで初めてピッチングは上達するのです。

うすればフォームが改善されるのか?

「リラックス」と「体の使い方」が上達のポイント

ストレスを感じて練習していませんか?

「指導者が子供を大声で怒鳴る」このようなお話はいまだによく耳にします。

大声で怒鳴られた時にあなたは緊張しませんか?
平常心を保てますか?

そんなことはプロの投手でも不可能です。

投球のパフォーマンスを最大限に発揮するには、いかに平常心でリラックスした状態でプレーできるかです。
だからこそ、ストレスを感じることなく客観的に自分を見つめることのできるオンライン指導が有効であると私は思っています。

リラックスと平常心

「体の使い方」が投げる動作の本質

体の使い方
そして私が最も重要視しているのが、最新の科学的理論に基づく育成世代における最適な「体の使い方」です。

投球動作というものは、小手先だけうまくしようと思ってもそうはいきません。将来本当に活躍できる選手になるには小手先ではない、本質的な体の使い方を学ぶ必要があります。基礎なくして本当の技術は身につけられません。

次の試合で結果を出さないといけないコーチと、一生野球を楽しめる体作りをすることを目指している私たちの考えが根本的に合わないのはやむを得ないことなのです。

メジャーリーグでも中学3年生からピッチャーに転向し、第一線で活躍している選手も少なくありません。その最大の理由は、先を見据えた長期的な育成ができるかどうかにかかっているのです。

日本では、幼い頃から小手先の技術ばかり教えていることが多く、最終的に大成するに至らない理由もそこにあるかもしれません。

筋肉も使えなければ意味がない

筋肉も使えなければ意味がない
また近年では、さまざまなトレーニングが注目され、育成世代の選手もウエイトトレーニングを積極的におこなっています。しかし筋肉ムキムキの人でも球速が遅いこともありますし、線の細いピッチャーが剛速球を投げることもあります。

ウエイトトレーニングが悪いわけではありませんが、人の体を動かす本質はその筋肉をうまく使う「体の使い方」にあります。

実際に、身体の使い方を学ぶだけで、数ヶ月で10キロ近く球速が上がることもあります。このように、一生ものの財産になる根本的な体の使い方を身につけてもらって、投球動作を変えていくのが私の指導の最大のポイントです。

個性を大切にした指導

個性を大切にした指導
ちまたには、「このフォームはケガをしない」「理想の投げ方はこれだ」というよなノウハウやピッチング理論というものが山ほど存在しています。ところが、選手はそれぞれ骨格、筋力、柔軟性、体の使い方、イメージ、感覚などみな違います。

現在日本でも注目されはじめ、一時、当時のアメリカを席巻した投球理論というものがあります。ところが実際に多くの選手のデータを取ってみると、その理論に当てはまる選手もそうでない選手も、ケガをする確率は変わらないということがわかりました。

つまり、ある一定のレベル以上の選手では、それぞれの個性を生かした投球フォームがあって良いというわけです。その個性を見極められるかどうかが指導者の技量ではないのでしょうか。

「他覚」を引き出すための「自覚」

「他覚」というのは他人から見たフォームのことです。「自覚」とは自分の持っているイメージ、もしくは体の感覚です。例えば鏡を一切見ないで「自分はこうやって投げている」という感覚のことです。

例えば体重移動はお尻から先行するのでそれを「ヒップファースト」と呼びます。これは外から見たフォームなので「他覚」ということになります。プロ野球選手をみるとほとんどの選手がヒップファーストになっています。

ところがプロの選手たちは「お尻から先行する」などとは考えていません。正しい体の使い方ができれば、自然にそのような投球フォームになるからです。

子供たちを見ていると、お尻から出すようにと指導され、お尻を前にプリッと突き出したように投げていることがあります。それではよいピッチングはできません。その言葉や見た目だけにとらわれてしまうとなかなかうまくはいかないものです。

どういう意識を持てば、またはどういう練習をすれば自然とよい投げ方になるのか?他覚を引き出すための自覚は何か?を考えて指導することを私は大切にしています。

自分で考える力を身につける

MORIピッチングラボ、もしくは外部で指導をする際、特に中学生や高校生に「どうしてだと思う?」とか「なぜその練習が必要なの?」と聞くと、返事が返ってこないことも多いです。

野球の現場では、監督の言うことに「はい」とだけ答え、ただ言われたことをする、自分で考えることをしない選手が多いです。

自分で考える

私自身もそんな選手の一人で、ただ言われた通りの練習をこなす毎日でした。自分で考えるからこそ発見があり、自発的に練習に取り組むようになり、今までにない感覚をつかむことができます。現に良いチーム、良い選手ほど自分で考えて行動しています。

考える力を身につける
ただ漠然と練習するのか、自分で考えて自発的に練習するのかでは成長に違いが出て当然です。

MORIピッチングラボでは「自分で考える力を身につける」そんな選手の育成も課題にしております。