みなさんこんにちは。
京都市北区 MORIピッチングラボ代表の森です。
今回は、小学生や中学生の野球をしている子供のお父さんお母さんに向けたブログを書きます。
私はこれまで外部での野球教室やMORIピッチングラボでの個人レッスンを通してたくさんの子供の指導を行い、またそのご両親ともコミニケーションをとってきました。
その中で、たくさんの発見や気づきがありました。
今回は私が学んで感じたことをみなさまにお伝えしていこうと思います。
子供の野球がうまくなるためには
ご両親の願いは「どうすれば子供がうまくなるのか」ということではないでしょうか。
・もっとうまく投げられるようになって欲しい
・たくさんヒットを打って欲しい
・子供の喜んでいる顔がみたい
・試合で活躍して欲しい
このように子供の成長、活躍を願わないお父さんお母さんはいないはずです。
当院にもそのような思いを持ったお父さんお母さんからのご相談を多くいただいております。
ではどうすれば、野球がうまくなるのか?
その1番の答えは「野球を好きになること」だと私は考えています。
「なんだあたり前のことじゃないか」そうお思いの方もいらっしゃるでしょう。
言葉にしてみると当たり前のことですが、実際にはその思いと、ご両親の行動が相反することがあります。
少し長いブログになりますが「あたり前のこと」そう思われている方こそぜひ最後までご覧になってください。
野球を嫌いにさせていませんか?
・上手く行かない子供を見ているとついイライラしてしまう
・子供の成長を願うがあまり厳しい練習を課せている
・悪いところばかりに目がいってしまう
・どうしても他の子供と比べてしまう
・練習しない子供を怒ってしまう
みなさんはこのような経験はないでしょうか。
私にもまだ小学校に上がらない男の子と女の子の子供がいます。
長女は体操を習っているのですが、逆上がりや跳び箱が上手くできないことがあります。
正直、「もっとああすればいいのに」「なんでこんなことができないのか」「他の子供はできているのに」なんて思うこともあります。
そう思うこと自体が悪いとは私は考えていません。
これは子供のことを考えていると自然に思ってしまうことです。
しかし、その思いをそのまま子供に伝えることはありません。
また、子供は小さくても賢いものなのでその思いが意図せず伝わってしまわないようにも注意しています。
私は野球教室や、個別レッスンを通して子供や親御さんとたくさんコミニュケーションをとってきました。
その中で、子供が野球を嫌いにならない、野球をもっと好きになる、そんな方法を常に考えて実践してきました。
私が実際に実践してきた方法や考え方についてご紹介しますのでぜひ参考にしてみて下さい。
親の仕事は怒ることではなく解決策を考えてあげること
「なんでできないんだ!」
「〇〇君はできているのに」
親であっても指導者であってもこんなことを子供に伝えないようにしましょう。
きっと子供を思っての言葉でしょうがそれではかえって野球や練習を嫌いになってしまいます。
上手くできないのには必ず原因があります。
もちろん個々の能力には差があるので、原因が分かったからと言ってみんながプロ野球選手になれるわけではありません。
それでも原因がわかれば必ず解決策が出てきますので、今の状態よりは確実に成長することができます。
例えば、コントロールが悪い子供がいるとします。
その子に向かって「ちゃんとキャッチャーミットを見なさい」「真っ直ぐなげなさい」といっても上手くいきません。
コントロールが悪い子は(小学生以下で)、片足できちんと立つことができません。ケンケンなどの遊びもうまくできないことも多いです。
これは体幹が不安定だからです。体幹が不安定で体がぐらぐらするとリリースポイントも不安定になります。
それではボールを真っ直ぐ投げることはできないですね。
であれば、片足で立つ練習やケンケンの練習などウォーミングアップや遊びの中で取り入れても良いかもしれません。
片足やケンケンをしながら投げる練習をしても良いですね。
このように、うまくできていない結果を指摘するのではなく、「どうすればよくなるのか」という解決策を提示することが親やコーチの仕事ですはないでしょうか。
練習を楽しめるようにする
解決策が分かっても、それに取り組むのは子供自身です。
親が練習を強要してしまうと、子供は楽しいと思えないでしょう。
練習が楽しくなるコツは、子供自身が成長を実感できることです。
「できないことができるようになった」このような成功体験を積み重ねていくことでどんどん練習が好きになります。
先ほどのコントロールに問題のある子供の例で言うと、片足で安定して立てるようになったこと、ケンケンをうまくできるようになったことを褒めてあげましょう。
その延長線上に「コントロールの改善」という結果があります。
結果ばかり気にしてしまうとどうしてもできないことに目がいってしまいます。
子供の小さな変化に気づいて認めることができれば、子供も練習が好きになるはずです。
何も過剰に褒める必要はありませんし、他人と比べて褒める必要もありません。
「あれはよくできたな!」「今日の中で一番よかった」「あのボールはいいボールだった」などそのまま事実だけを伝えれば良いと思います。
特に小学生の頃に野球の楽しさを実感した子供は中学生や高校生になっても上手くなりたいという思いを持ち続けるので、練習もがんばるようになります。
子供の成長には個人差がある
「早生まれの甲子園球児は少ない」というデータをご存知でしょうか。
これは紛れもない真実です。
1年を4つに分けると「1月から3月」「4月から6月」「7月から9月」「10月から12月」となります。
生まれ月に影響がないのであれば、甲子園出場選手の誕生日はそれぞれ25%ずつになるはずです。
しかしあるデータによると「1月から3月生まれ」は15%程だそうです。
これは当然の話で早生まれは体の成長が同学年の子と比べて遅れてしまうからです。
高校生でこの差が出ているということは、小学生、中学生ではその差はもっと大きくなることは容易に想像できます。
また、小学校から中学校にかけて活躍した選手が高校では伸び悩む、逆に高校や大学で一気に花開くというケースも少なくありません。
身長の伸び方に差があるように、子供の能力の伸び方にも差があります。
プロのスカウトだって、例えば10人スカウトしても大成する選手はごく一部です。
つまり将来のことは誰にもわからないということです。
どうしても他の子供と比べがちになってしまいますが、ぜひ温かく子供の成長を見守っていただければと思います。
「遊び」が野球を上手にする
野球をしてきた子供のお父さんから「自分は投げ方なんて誰にも教えてもらったことはない」というお話を聞きます。
実は、親御さん世代では遊びの中で野球が上手くなったという経緯があります。
メジャーリーガーも導入するトレーニングに「パルクール」というものがあります。
これはアスレチック遊びを特化したようなスポーツで、障害物を利用して様々な技を繰り出すものです。
バランスや瞬発力、柔軟性のトレーニングになるので様々なスポーツにトレーニングとして応用されています。
つまり、子供の頃にアスレチックや遊具でたくさん遊んだり、いろんな運動を行うことはそれだけで良いトレーニングになるということです。
石を水面に投げる「水切り」、面子(めんこ)、トランプ手裏剣などの遊びも、腕の使い方が自然によくなる遊びです。
今の時代では、川遊びをする場所も少なければ、空き地だって少ない、遊具だって危険だからと撤去されています。
このような遊びを今と昔で比べると、今の方が少なくなっていることは間違いないでしょう。
いろんなスポーツをしましょう
また、野球だけに限らず子供には様々なスポーツを経験して欲しいものです。
例えば、バレーボールやバトミントンなどはプロの選手が練習に取り入れるくらい野球と関連のあるスポーツです。
それに限らず、サッカーやバスケットなども体幹の使い方や下半身の使い方の練習になります。
私も小学生から中学生にかけては2人いた兄の影響で、野球のない日はバスケやバレーボールをしましたし、兄がボクシングを初めてからは一緒にサウンドバックを叩いて遊んでいました。
また友達の家に卓球台があったので、友達と切磋琢磨しながら卓球の練習にも励みました。
そのどれもが野球をする上での糧になったと実感しています。
小学生のうちは様々なポジションを経験させる
小学生のうちから限られたポジションばかり守るケースも少なくないようです。
特にピッチャーはできる子供は限られるでしょうし、早くから英才教育的に指導したいという親御さんの思いもあるかもしれません。
ただ、同じポジションを守り続けてもそのポジションのスペシャリストになれるとも限らないのです。
いろんなポジションを守ること自体がトレーニングになる
いろいろなポジションを守ることで、そのポジションの能力を最大限に発揮することができます。
例えば内野手は「取ってから早く投げる」という練習をします。
取ってから早く投げるには体幹の「軸」をしっかり作らなければ上手くできないとてもハイレベルな動作です。
体の軸を作るのが苦手な子どもは、投げるときに腰が引けたような、腰がくの字に折れ曲がったような投げ方になります。
内野の上手な選手は体の軸が真っ直ぐしていて、ボールを投げるときに体がくの字に折れ曲がることはありません。
この軸を作るという動作はピッチャーにおいてもとても大事な要素になります。
ピッチャーも腰がくの字に折れたような腰の抜けた投げ方ではボールに力を伝えることができないのです。
内野手の練習をすることで自然と軸を作る体の使い方ができるようになります。
怪我の予防につながる
当然小さな頃からピッチャーばかりしていると肩肘の負担も大きくなり怪我のリスクが高まってしまいます。
ピッチャーが何人もいるチームならまだ良いのですが、エースが1人で投げ続けるというケースもよく耳にします。
怪我の予防のためにも、技術の向上のためにも様々なポジションを守ることは大変有効なのです。
チームプレーの基本「相手のことを考える」が身に付く
また、様々なポジションを守ることで、相手の気持ちを考えるプレーができるようになります。
例えばファーストを守ると「どこに投げてもらうと取りやすいか」ということが分かり、それがわかれば自分がファーストに投げるときは相手が取りやすいところに投げようとします。
ここのポジションのこの打球は難しいんだな、ということがわかればチームメイトがエラーしたときの声の掛け方が変わるかもしれません。
中継プレーやカバーリングなどはそれこそ、相手の投げやすい場所にポジションを取ったり、ここにボールがこぼれてきそうだ、というように相手のことを考えなければ上手くいきません。
野球は単に打って走る、取って投げるスポーツではなく、本当に奥の深いスポーツでそれがわかると本当に楽しいスポーツです。
野球がチームプレーであることを様々なポジションを守ることで実感することができます。
「見て学ぶ」イメージできることしか体はできない
子供たちに、好きな選手やマネしている選手を聞いても「特にいない」という返事が返ってくることがあります。
最近の子供たちは塾や習い事などもたくさんしていてテレビを見る機会も少ないのかもしれません。
あくまで、野球が上手くなるためにという観点でのお話ですが、なるべくプロ野球やメジャーリーグなどの野球の試合を見ることをお勧めします。
というのも、人間の特性として「イメージできることしかできない」というものがあるからです。
これは自分がテレビの選手のように、あんな風に打って走って投げて、という姿がイメージできるかということです。
やったことのないスポーツでも「なんだかできそう」と思うものは、ちょっと練習するだけでできてしまう、なんてことも少なくありません。
また、選手の動きの「モノマネ」ができる子供はさらに上達が早いです。
モノマネがうまいこはイメージを体現するする能力に優れていますので、自ずとパフォーマンスも上がります。
しかしこれもイメージがあってこその話なので、まずはイメージを作るために「見て学ぶ」という工程が欠かせないということです。
自然と野球に情熱が持てる手助けを
私も含め、子供をサポートする人間ができることは、あくまでも子供が自然と情熱を持てる手助けをすること、ただそれだけだと私は思います。
例えば、私にできることは今回述べたことの「解決策を考える」ということです。
上手くできない原因を見つめて、それができるようになるサポートをしてあげる。それによりできる喜びを子供に知ってもらうこと。
また、ご両親ができることは今回ご紹介した内容を知ってもらうこと。
子供の成長に差があることを知るだけで子供への言葉がけも変わるでしょうし、いろんな遊びを教えたり一緒に楽しんだりすることもできるでしょう。そして小さな変化に気づいてあげることができれば子供の喜びに変わります。
コーチであれば、いろんなポジションを練習させてあげたり、練習で他のスポーツを取り入れてあげても良いかもしれませんね。
そうすることで自然と野球が楽しくなり、もっと上手くなりたいと自発的に考えるようになるかもしれません。
それでもやはり野球をするのは子供なわけですから、あくまで主導権は子供です。
いくら親が野球を好きになってもらおうと思っても、最終的に選ぶのは子供自身です。
もしも野球より楽しいことがあればそれを優先させるべきでしょう。
有名な「アドラー心理学」の著書でも、
馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない
というイギリスのことわざを紹介しています。
子供をそこまで導くことがサポート側のできることであって、最終的に選択するのは子供自身というわけです。
ぜひお父さんお母さん、コーチや周りのサポートしている方は子供が野球を好きになる、そんな手助けをしていただければと思います。
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