皆さんこんにちは。
京都市北区にあります MORIピッチングラボ 代表の森です。
今回も野球のピッチングにおけるヒントやコツになることをお伝えします。
今回のテーマは、「リリースポイントを前にするための方法」です。
なぜリリースポイントを前にした方がいいの??
これはいろんなデータで裏付けされている、事実です。
リリースポイントを前にすることでパフォーマンスがアップし、ケガをしにくくなることも期待できます。
また、肘の負担が少なくなるというデータもあります。
しかし、リリースポイントを前にしようとする過程の中で、間違った意識、間違った方法で行うことで
むしろパフォーマンスの低下がおこったり、肩や肘を痛めるリスクも出てきます。
ですので、正しい知識を持って、正しい方法を実践することが非常に大切です。
体が前に突っ込んではいけない
まちがった意識の仕方で一番多いのが、上体が突っ込んでしまうというものです。
リリースポイントを前にしたいがために、体全体が前に突っ込んで投げてしまう。
上体が突っ込んでしまうとまず、腕に力が入らない、身体に力が伝わらないということがおこります。
そしてもう一つ悪い影響は、体に対して腕が遅れてしまうので、
肩肘を痛めるリスクが増えます。
ですので、リリースポイントを前にしようとして上体が突っ込んでしまう方は、早急に直していただきたいと思います。
リリースポイントが前になる原理とは?
ポイントは、「グローブ側の肩と股関節を支点にして回転する」ということです。
グローブ側の肩と股関節を支点にして回転すると、結果的にリリースポイントが前になります。
分かりやすく図で説明します。投げている時の様子を頭上から見た図です。
左の図 → グローブ側の肩を中心に回転すると、リリースポイントがより前になります。
右の図 → 体の中心を支点に回転すると、左と比べてリリースポイントが手前になってしまいます。
このように比べてみても、「グローブ側の肩と股関節を支点にして回転する」メリットがわかると思います。
「グラブブロッキング」とは異なる?
以前にも、グラブ側の肩で支点を作るという動画を上げています。
その中で「肩は引くのではなく少し出すくらいの使い方をするんですよ」といった解説をしているんですが
それに対して、「グラブ側でブロックを作るというのは、グラブブロッキングになるのではないですか」
というご質問をいただきました。
※グラブブロッキング グローブ側で止めることで、体幹が回転できず腕だけで投げてしまうこと。
ご質問の意図はすごくよくわかります。
実際にそのような動作で投げてしまえば、ものすごく肩に負担が掛かります。
しかし、本当にきちんとグローブ側で支点を作ることが出来ていれば、「グラブブロッキング」にはなりません。
これについても図を使って説明します。
左の図 → 先ほど説明した、グローブ側の肩を支点に回転している様子です。
右の図 → 投球側の肩を支点にしている状態。「グラブブロッキング」の状態はこちらになると考えられます。
つまりグローブを止めてしまうことで、むりやり投球側の肩を支点にして投げるしかないという結果になります。
なぜ、こうなってしまうのか? 両者の違いはどこにあるのか?
ポイントは「股関節」にあります。
股関節を支点に回転することが大事!
股関節に支点がないと、骨盤の回転がスムーズにできません。
骨盤が回転せずに上半身だけで回転させようとすると、体がねじれてこれ以上引けないという限界がきます。
結果的に足りない回転を腕だけで補おうとしてしまい、窮屈な投げ方にも見えます。
ですので、グローブ側の股関節を支点に回転することで正しくリリースポイントを前にすることが出来ます。
「グラブを引いて投げろ」の間違い
もう一つ、気を付けなければならない点があります。
間違った指導の中で、「グラブ側の肩を引いて投げろ」と言われることがあります。
上の図のように、正しい回転をした場合、グローブ側の肩を支点にして前に行くので
投球側の肩に対して、グローブ側の肩は結果的に後ろに位置することになりますよね?
元々の位置は変わっていないのですが、
これを見て、肩を引いていると間違って解釈した人が「肩を引け」と指導します。
これは本当に良くないと思います。
肩を引いてしまうと、回転の軸となる部分が体の中心になってしまいます。
つまり、リリースポイントも手前になってしまう、ということです。
肩を引いているように見えるだけで、実際には肩の位置は変わらないので注意しましょう。
リリースを前にするための練習方法
では、リリースポイントを前にするために、
「グローブ側の肩と股関節を支点にして回転する」ための練習方法をお伝えしていきます。
①内野手のスナップスロー
肩、股関節に支点を作るには内野手のスナップスローを参考にしてください。
このスナップスローはグラブ側の肩、股関節でブレーキを効かせている状態です。
内野手は、グラブ側の肩を内に入れるぐらいにして投球します。
これは、肩で支点を作る動作のわかりやすいパターンです。
実際には、投球動作というのは回転運動が大きいので支点を作ってもグラブ側の肩は引かれます。
ですので、これは支点を作る感覚を養う練習と思って行ってください。腕が加速する感覚がわかるようになります。
②ボクシングや空手のパンチ
ボクシングや空手のパンチも同じです。
右手を後ろに引いてパンチしている姿なんて見たことないですよね?
上の写真のように、右手で壁を作ることでより強いパンチが出来ます。
また、前の足の股関節を支点にしてしっかりと骨盤が回転しきっています。
股関節が回りきるから、身体も回転するんです。
リリースポイントが後ろにある子供たちに、「ボクシングのパンチやってみて」というと
みんな手を遠くから振り回すように動かすんですね。
ボクシングのストレートをパンチして肩はどうなっているのか、遊びの中で行ってみるのも良いでしょう。
③私自身の経験から
そして、私自身も支点を作る動作が苦手で、肩を痛めた経緯がありました。
しかしこんな方法で克服したんです。
投げる時に、「グローブ側の肘をしたにグッと下げ、下げた瞬間に肩と股関節を踏ん張る」という方法です。
ただ肘を下げるのではなく、グラブ側の肋骨を締めるような、わき腹をクッと縮めるような使い方です。
よく腕の位置について議論されることがあるんですが、それよりも肋骨を締める感覚が大切です。
いろんなパターンがあると思いますが、気になる方は私のやり方も参考になさってください。
まとめ
今回はリリースポイントを前にするための方法をお伝えさせていただきました。
リリースポイントを前にすると、ピッチングでバッターを抑えることができる確率も上がるでしょうし、
スピードも上がるだろうし、肩肘の損傷を防ぐこともできると思います。
ぜひ参考になさってください。
今回の内容も動画で分かりやすくお話しておりますので、ぜひご覧になってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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