皆さんこんにちは!
京都市北区にあります MORIピッチングラボ 代表の森です。
昨年、とある論文が発表されました。
私はその論文を見て、鳥肌が立つくらいうれしかったです。
という訳で今回は、革命的事実が明確になった論文についてのお話です。
ぜひ野球肘に悩む選手、ご両親、指導者、トレーナーさんなど、ぜひ皆さんに見ていただきたい内容になっています。
MLB140人のデータから判明した野球肘の原因
この論文の内容は、MLB選手140人のピッチトラッキングデータを使用して、
リリースポイントが内側側副靱帯再建リスク(トミージョン手術)に及ぼす影響について調べたものです。
簡単に言いますと、リリースポイントと、肘を痛めるリスクとの関係を追った研究になります。
結論から申しますとそこには、
トミージョン手術に至るまでに、リリースポイントが外側に広がっていたということです。
これを見たときは本当に嬉しかったです。
なぜなら、私は以前から肩肘の負担の原因が、腕が遠回りしてしまうことにあると言ってきたからです。
私たち治療家やトレーナーは研究家ではないので、いくら仮説を立てたとしてもなかなかそれを証明することはできません。
経験上、解剖学的な考え、運動学的な考えを含めて考えると、絶対そうだと思っていても
やはり、数字として論文として出てくるまでは絶対という言い方ができないんです。
今回はこの論文が出てきたおかげで、科学的な根拠ができたということになります。
野球肘の原因をフォームの観点から分析
「トミージョン手術を受けるに至った投手は、球速やリリースポイントに特徴があるのではないか?」
という仮説を立て、ピッチトラッキングデータを用いて調べた研究です。
野球肘で手術をした人はリリースポイントが外下方に
2010年から2017年までの間にトミージョン手術を受けた140人のMLB選手のトラッキングデータを使用している、
これはとても信憑性がありますね。
投球タイプ(先発、リリーフなど)、リリース位置、球速を、手術を受けた投手と受けなかった投手の過去3年間をさかのぼって、両群でどういった変化が起きているかを比較したものです。
手術を受けた選手、受けなかった選手それぞれ70人の平均データを取得。(手術をした群は精査して70人ほどに絞る)そうすることで、体格やピッチングタイプの相違を少なくしています。
3年間さかのぼるということは、ケガをする前からデータを取り始めないといけないので時間がかかります。
それだけ大変な労力をかけて集約したデータです。
3年たってケガをした人とケガをしなかった人の特徴は何なのかをリリースポイントに焦点を当てて導き出した。
その結果手術を受けるに至った人は、リリースポイントが外下方に大きく移動していました。
上の写真を参考にしてください。
青で囲った部分が手術をしなかった分、赤で囲っているのが手術をした分です。
シルエットで投げている人の絵が出ているんですが、青で囲ったものの方が体に近いです。
赤で囲った方は、外側かつ下側に移動しているのがわかると思います。
手術に至った群は、明らかにリリースポイントが体から離れていたんです。
アップにしてみてみると、薄いグレー、濃いグレーそれぞれ1年目、2年目、3年目となっています。
アップにしてみると、薄いグレー、濃いグレーそれぞれ1年目、2年目、3年目と分かれています。
手術をした投手はしなかった投手に比べて初めからリリースポイントが外下にあるんです。
その差はなんと8cm!!
3年目、手術をするに至ったその年のデータを見てみると、
なんと12.2cmの差が開いているんです!!
これだけリリースポイントの違いがあったとは驚きですね。
また、ケガをした投手群だけで見ても、
2年目から3年目の1年間だけで3.4cmも外に開いていたんです。
これがわかったということは、障害予防において非常に革命的な研究になりえます。
というのも、ちゃんとデータを取ってみてそれだけの差が出ているようだったら、ケガをする確率が非常に高くなっている。
だから、何かをしなければいけないという指標になるんです。
野球肘のあなたは遠心力で投げていませんか?
リリースポイントが外方へ行くのは、遠心力投げ優位の投げ方になっているからであると過去の動画でも何度も解説しています。
以上にあげました、これらの動画はすべて遠心力優位の投げ方なんです。
だから結局、肘肩をケガしてしまうんですよという結論付けもしていたので、まさにこの論文と、そのままリンクする内容だなぁと思っています。
肘を痛める原因って色々言われます。
こういう投げ方、こういうテイクバックが悪いと言われるんですが、それに対するデータも持っています。
テイクバックがどんな形であれ、投球フォームがどんな形であれ、投げ方は、骨格や体つき、瞬発力や筋力など、いろんな要素で変わってきます。
だったら、フォームをどうこう、テイクバックのやり方をどうこうするのは技術的には必要ですがそれよりも、
最終的には、リリースポイントが崩れない投げ方を身に着けていければ、どんなフォームでもケガしにくいということではないでしょうか。
まとめ
ではそうならないためにはどうすればいいのかをまた、過去の当院の動画も参考にしていただけたらいいと思います。
動画では、さらにわかりやすく図や文字でも同時に説明していますので、参考になさってください!!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
気になる方はぜひ、動画をご覧になってください。
きっと役立つ内容だと思います。
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